H O R R O R ! 恐怖新聞 5th シーズンス
#02:八甲田山
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
act.3
ついに我々が乗るランサーは八甲田山へ向けて進路を取った。
やっとここからが本題である。
読み手である皆様もやっとかよ!!とお思いだろうが、
もちろんすぐに八甲田山につくわけではない。
我々は十和田市廻りで八甲田山へ向かう予定であったのだがここで新たな問題発生。
ガソリンも底を尽き始めたのだ。
「どっかスタンドに寄って行くから」
「あぁ全然かまわないよ」
十和田市内でランサーはガソリンを求めて徘徊をする。
「どっかないかな」
時刻はすでに10時を過ぎたところである。
辺りのガソリンスタンドはすでに照明を落として閉店をしている。
これは八戸まで戻って詰めるしかないのか。
そんな絶望の色が車内に滲み出た頃に1軒のスタンド発見。
大急ぎでスタンドに滑り込もうとするも手前の信号に捕まってしまう。
安堵の喜びに我々も和やかになった途端に。
スタンドの照明が消灯。
「やばい!!終わったか?!」
信号が変わると共にランサーは急スピードでスタンドに駆け込む。
「ちょっと終わったか聞いて来るよ」
ケンチャンが車を降りて店員に交渉してくる。
すぐにケンチャンは戻ってくるも
「駄目だった、もう機械を止められたみたい。代わりにまだやっているスタンドを聞いたからそっちに行こうか」
しかし聞いたガソリンスタンドが見つからない。
「ガソリン大丈夫??」
「もしガス欠になったら皆で押そうか」
そんな不安もよそになんとかガソリンスタンドを発見。
しかしセルフ。
ケンチャンは迷う事なくセルフサービスのスタンドへ入って行く。
そこには50年代あたりなのだろうか、古い型のアメリカンが先客で居た。
「すっごい車に乗っているなぁ」
「エルビス・プレスリーの世界だな」
「あんなのガソリン食い過ぎで走ってらんないよ」
「好きな人は好きなんだろな」
「もう道楽だな」
ケンチャンは車を降りると自分でガソリンを入れる準備。(セルフなのだから当たり前であるが)
その様子を見ているとまさにプロ。
我々は驚愕した。
流石の一言である。
入れ終えると備え付けのタオルで給油口をさっと一拭き。
「すごいな、見事なもんだ」
「やり馴れてる感じがするな」
「ALEXはできるか??自分で入れる事」
「できるわけないだろうが!!」
「どうしたの??」
ケンチャンが支払いを終え戻ってきた。
「いや今FANCYとすごいなって話をしてたとこ」
「なにがすごいの??」
「自分でガソリン入れるのが」
「いや普通できるでしょ」
「できないよ、少なくても俺らは」
「やろうと思えばなんだってできるから」
「俺だったら間違いなくセルフじゃないスタンド探すよ」
「なんでもやってみなきゃ」
「そうだけど俺らには真似できんな、
タイヤ交換に1時間を費やす二人だからな」
「えっ??そうなの??」
「それを言うなぁ!!!」
ガソリンを詰め終えランサーは再び爆走を始めた。
しばらく後には我々は来た事もない山道へといた。
「あれ!!熊注意の看板」
「ロリ太を連れてきて戦わせたいとこだな」
「ついに夢の対決か??」
「でも熊を生で見るとすごいよ」
「見たことあるの??」
「仕事の関係上、山を歩く事もあるからね。熊よけの鈴をガラガラ鳴らしながら歩くの」
「俺らなら無理だな、こないだのずい道でもやばかったから」
「俺は山に独りで一ヶ月いろって言われても生活できるよ、ナイフ一本さえあれば」
「ワイルドだなぁ」
「本部隊にはいないな、そんな能力を持った男は」
そんな会話をしているうちにもランサーは八甲田山へ登っていく。
曲がりくねった坂道も馴れた様子で走って行くケンチャン。
「ケンチャンの運転なら安心だ、どこぞのだれかと違って」
「失礼な!!」
「こっからはヤバくなって来るよ」
「なんかあるの??」
「俺、兵士の霊を見たことあるんだ。しかも走っている最中に、あの時は踏んだね」
「なにを??」
「アクセル」
「他にも女の子が車に乗ってきた事もあるよ」
「まじで」
「二人はお寺に泊まった事ある??」
「いや。って言うか泊れるもんなの??お寺って」
「昔、素行不良で泊まった事あるんだけど霊を信じる気になるね」
「なんか不思議な事が起こるの??」
「かなり起こるよ、檀家とか死ぬとお寺の鐘がなるんだよ」
「え??誰かが鳴らしてんじゃないの??知らせを聞いて」
「いや、誰もいないし死んだって事は知らないんだよ。んで和尚さんに今鐘が鳴ってましたけどなんです
か??って聞いてみると、ああ檀家さんが死んだんだねって普通に答えるからね」
「へぇ〜」
「未知のワールドだね」
「あれは一回体験して見た方がいいかも」
「寺かぁ、泊まってはみたいな」
ランサーは本格的に八甲田山に登り始めている。
しかもすでに暖かくなってきている時期だというのにまだ残り雪がちらほらとあるではないか。
「雪があるよ!」
「あぁこの辺の雪の回廊って有名じゃん、都会からも見に来る人とかいるとかって。雪なんか見てなにが楽しいんだか」
「岩手にもあるよね、八幡平の雪の回廊」
「あぁそういえばあるね、でも実際見るのは初めてだ」
八甲田山の本当の恐ろしさ、雪の脅威がまざまざとわかる。
これで真冬に山越えは不可能に近いであろう。
実際にここでそれで多くの兵隊が死んでいるのであるのだから。
「もう少しで茶屋が見えて来るから一回ひと休みしようか」
我々はまず最初のポイントである高原茶屋に車を停めると一時休憩をした。
「あっ携帯圏外じゃん!!」
当たり前である。
「そこに地図があるから見てみようよ」
「我々がいるのはここの現在地、そしてこっから向かうのが銅像茶屋」
「あっ俺、尿意が」
「トイレがないからそのへんで、暗いから大丈夫だよね」
「いや出来るだけ明るい方がいいなぁ」
「野外露出プレイ?!」
暗がりへ粗末なモンをぶらさげながら走って行くALEX。
「この銅像茶屋って何があるの??」
「ちょうど八甲田山の兵隊が行き倒れたところらしいよ」
「生存者は一名いたんだよね」
「そうだよ」
ALEX註:生存者は1名ではなくもう少し多かったはずです。
すっきりさせたALEXが帰って来る。
「んで俺らどこに行くの??」
「この次の茶屋で銅像茶屋ってとこだよ」
「それで俺らはどこにいるの??」
「この方向オンチが〜!!」
リピートは時間の無駄なので我々はランサーに乗り直すと次のポイントへと向かった。
「ケンチャンが兵士の霊を見たってとこはどこなの??」
「もう少し行ったとこだよ」
「ならビデオカメラをつけとくか」
車内から外の様子を撮影しようというのだ。
電源を立ち上げALEXはモニターを覗き込む。
それから2分後。
「これヤバいな、酔ってきた(・∀・;)」
「ただモニターを見てるだけだろ、なんで酔うんだよ」
ビデオカメラを受け継ぐと私が撮影に回る。
しかし2分後。
「確かにヤバい、ひさしぶりに車酔いしたよ」
「モニターは見ないでただ持ってるだけでいいよ」
「それが賢明だな」
しかし車の揺れでうまく撮影はされてない事は確かである。
恐らくはテープ確認の際にまたまた車酔いをしてしまう可能性すらあり得る。
深夜の山道を照らすランサーのライトは目の前のアスファルトと深い森、そしてそこに残る雪を照らし出している。
人気はなく、鬱蒼と茂った木々が更に無気味な雰囲気を演出していた。
「そろそろポイントに到着するよ」
ケンチャンの言葉が終わる頃にはなにやら建物が見えて来る。
「ここが次のポイント??」
「そう、銅像茶屋」
「ここはなにがあるの??」
「女子トイレの入口での霊の目撃情報が跡を断たないんだよ」
「じょ、女子トイレ?
は、犯罪の臭いがするな」
「犯罪の臭いをさせているのは貴様の方だ!!」
ランサーは銅像茶屋の駐車場一角に停止する。
「それじゃ行ってみようか??すぐに逃げられるようにエンジンかけておこうか」
「いやエンジンをかけたままだと音で誰かに見られるかもしれんから切って行こう」
「市原悦子か??」
「それは前回だけで充分なんだよ!!」
エンジンを停止させ我々は八甲田山の恐怖スポットに足を踏み入れた。
私は降りてその銅像茶屋を見た時なにかを感じた。
だがそれがなにかはわからなかった。
そうその時はまだ.......。
女子トイレに我々は一歩また一歩と近付いて行く。
ALEXはまるでピンホールカメラを仕掛ける変出者のようなある種の興奮を憶えているようだ。
「なにか感じる??」
「いや」
「って言うか普通じゃん」
ALEXとケンチャンの答えは一緒、もちろん私もであるが。
ついに私達の足は女子トイレの前で止まった。
ここまで来てもなにも感じない。
それは三人共である。
そして禁断の女子トイレへの侵入。
健全な読み手諸君に言っておくがこれは我々の趣味で侵入しているわけではない。
あくまでも調査が目的なのである。
まぁ、、、、ALEXに関しては50/50だが、、、、、。
これを読んで当局に通報しない事を願いたい。
トイレ内部はというとこれも全然嫌な雰囲気一つせずハズレを感じさせる。
「なんか全然普通だね」
「うん、俺も嫌な雰囲気を感じないと言う事はハズレかな」
「もうないの??」
「まだあるよ、次行ってみる??」
「あっちの方にはなにがあるの??」
「あぁ、あれは銅像が立っている方だよ」
「行ってみようか」
銅像茶屋の脇の方に看板が出ている。
しかし我々の持っている照明機具では照らし切れない。
なにやら古い唄らしきものが書かれている。
そしてその奥にはもう一枚の看板が。
”後藤伍長の銅像”
「後藤伍長って誰??生き残りの人??」
「いやこの人に関してはよくわからないんだよ、映画にも出てこなかった人物だからね」
「一体何者なんだろ」
「こっからは近いの??」
「結構歩くよ」
「なら任せとけ!!」
「嘘つけ!!またヒィ....ヒィ言うはめになるぞ」
「そんな事言ったらみんな俺が脆弱だと勘違いしてしまうだろ!!」
「いや勘違いではないだろ」
「......そうか」
「あぁここに距離が書いてあるよ、250mくらいか」
「俺は行ってもいいがこの照明で撮影ができるかな」
「明らかに無理だろ」
「もう少し強力な照明が欲しいよな」
「うむ、それにメインデジカメがあれば文句はなかったのだが」
「それも痛かったな」
「しかし寒いよな」
やはりもう五月とは言えまだ残雪がある環境である、寒いのも当たり前である。
しかも我々は甘く見ていたため軽装であったのも拍車をかけていた。
「これは一旦退却だな」
我々は寒気から逃れるようにランサーの車内に逃げ込む。
「どうする??少し温まってからもう一回行ってみる」
「いやあの暗闇では満足に撮影をする事は困難であろうから次に行ってみるか」
「なら近くの橋に行ってみる、自殺者が多いんだよね」
「よし、行ってみよう」
ほどなく大きな橋が見えて来る。
かなりの長さである。
長さもさる事ながら高さもかなりのものである。
峡谷の間に架けられた橋の高さはゆうに60m以上はあるのではないか。
私の目分量ゆえに確実には言えないが我々の照明では下の方は見えない。
ランサーは橋の近くにある休憩用の小さな駐車場に停止した。
改めて我々は近くからその絶壁を見下してみた。
「こりゃ落ちたら即死だな」
「まぁ生きている方が奇跡だな」
「こっから落ちると下の木に突き刺さっているらしいよ」
「恐ろしい光景だな」
「おや、こっちは下に道路があるな」
しかしどこからどこまでにつながっているのかがよくわからない。
おかしな道路である。
幅は道路と言うよりは歩道といってような広さだ。
「あぁそれ、それは工事用にあったらしいけど今は自殺防止用の道路だよ」
「これで下まで落ちて行くのを防ぐ訳??」
「でもこれでも骨折は免れないな」
「でも死ぬよりはマシでしょ」
「まぁね」
しばし、下の道路や橋を撮影する我々。
「しかし硫黄臭くない??ここ」
「トイレじゃねーの??そこにあるし」
確かにトイレがある。
トイレの臭いと言われればそんな気がしてきた。
それにしちゃ臭いトイレだな。
20m以上は離れているというのに。
しかし寒い。
ALEXはすでにランサーの中に閉じこもっているではないか。
私はもう少し辺りを散策してみる事に。
ここにもなにやら唄の書かれた石盤がある。
何が書いているのかや内容はゆえ読まなかったゆえわからない。
その時である!!
ふいに私の脇をなにかがかすめていった。
一体なにが!?
慌てて振り返るとそこには.........。
ベレッタを持ったALEXが!!
「ちっ、はずしたか」
「ゴラァ!!撃ってんじゃねー!!」
「持ってきたからには使わんとな、撃つ為の理由はいらない。そこに的があるから撃つだけさ」
「意味の分からん事を格言調に言ってんじゃねー!!」
「と言う事でサイコ☆クラッシャーのネタのために死んでくれ」
ALEXが乱射するベレッタの銃弾をまるでマトリックスのように躱す私。
「また電球でも撃っていろっつーの」
「うむそれもいいかな、俺のベレッタの威力見せてやる」
トイレの電球目掛けて、撃つ!撃つ!!撃つ!!!
しかし当たらない。
「何故??」
「ちゃんと狙っているのか??」
「よし今度こそ、、、、、
電球壊しちゃってもいいですか〜??」
「壊せるんならな」
「バカにしやがって!!」
ついにALEXの怒りの弾丸が、復讐のベレッタが火を吹く!!
しかしその怒りの弾丸は、大きくカーブを描き暗闇の森の方へ消えて行く。
「. . . . . . . . . . . . . . .
その銃は
ホルホースのスタンドかぁぁ!!??」
「チュミミ〜〜〜ン!!」
「つーかそれスタンドが違うんだよ」
「俺の銃ならどうかな??」
「おぉ!!ケンチャンのソーコム」
「ごっついなぁ」
「ちょっとライト付けてみてよ」
「ええっとこれをっと!」
「おお!!すげー」
ライトがついたソーコムを見て興奮状態の本部隊。
「結構威力あるし真直ぐ飛ぶよ」
「いいなぁ、俺も銃がホスィ!!」
「おぉ、見ていて欲しくなってきやがったな、農民め」
「うるせ〜ぞ!誰が農民じゃ!あぁ〜ぁ、なんかいいの欲しいな」
「どんなのよ?!」
「そうだなぁ、、、、、、
デザートイーグルより小さくて
25オートよりは大きいの」
左/デザートイーグル:44マグナム弾を打てる超巨大ハンドガン
右/25オート:僕等が知る限りで一番最小のハンドガン
「全部の銃が当てはまるだろーが!!」
「あぁそうか!?」
しかし我々もただのバカではない。
本来の任務を忘れている訳ではない。
我々は橋の対岸の方にも行ってみる事に。
そこで我々は驚愕させられた。
対岸にも休憩用の駐車スペースがあったのだが車が一台停まっている。
なにか不思議な事があるのかと皆様お思いだろうがその車は無人なのである。
辺りにはなにか見るような所があるようには見えない。
私達のような心霊スポット巡りをしてない限りはこんなところには車を駐車させどこかに行くことはないであろう。
あるとすれば..........。
「もしかして橋から落ちてんじゃねーだろうな」
ケンチャンの一言に我々は驚愕を隠せなかった。
大いにあり得る。
「同業者(心霊サイトの方)じゃないのかな」
「その可能性もなくないが自殺の方が割合的に多そうだな」
「まぁ無駄に事件に関わり合うのは美人三姉妹だけで充分だな」
「この後にはなにかあるの??」
「八甲田山はここで終りかな、別な所行ってみる??」
「まず下山してからにしようか」
そこから我々は下山の途についた。
途中またしても硫黄の臭いが車内に立ちこめてきた。
「まただよ、硫黄の臭いしない??」
「あぁこの辺は温泉があるからね」
「やっぱ温泉あるんだ、トイレの臭いじゃないじゃねーか!!」
「あぁ温泉あるんだ」
しらばっくれるALEX。
「これからどっか行く??」
「いや充電も少ないし今回はこれで切り上げようか」
「OK!!」
「やはりメインデジカメがないのは痛かったな」
「それに照明や服装、装備が甘かったな」
「今度はランサーじゃなくてもっと隠密行動に向いた車で来るよ」
我々は各自反省点を語り合いながら帰路についたのである。
再び我々がローレルを置いた駐車場に戻ってきた頃にはすでにゲームセンターやレンタルビデオ店は閉店して暗く寂しくなっていた。
「賭けはFANCYの勝ちだな」
「???なんの話だっけ」
「ビデオ屋がいつまでやっているかってこと」
「あぁそんなことも言ってたなぁ」
「あぁここは24時間じゃないよ」
すでに時計も2時になっている。
今回のロケはサイコ☆クラッシャーのロケ時間を大幅に更新。
今まで長くても1時間程度であった我々のロケも今回に関してはなんと7時間!!
今回は青森部隊長ケンチャンの協力を得る事によってアクティブなロケができた。
ここから更に新たなるサイコ☆クラッシャーが動き出そうとしていた。
我々はケンチャンのランサーからローレルに乗り移り本部への帰路へつき始めた。
帰り道に私はある事を思い出していた。
銅像茶屋のことである。
あそこはどこかで見たことがあるのだ。
そうそれはいつだったか忘れてしまったが、そう夢の中で見た光景が浮かんできた。
夢で見た光景。
それが銅像茶屋にそっくりなのだ。
夢の内容は駐車場には多くの車がありすごく賑わっている。
温泉がある。
感じとしては千と千尋の神隠しに近い雰囲気の夢であった。
恐らくは子供の時に行った事があるのかもしれない。
その潜在意識がその夢を見させて、たまたま今回八甲田山に行っただけということかも。
しかし今回のロケ内容には我々は満足してはいない。
また今回ロケ出来なかった場所を含め新たな再調査をする日があるであろう。