恐怖新聞 5th シーズンス
#01:三戸,再び、、、
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つい最近まで足の遠退いていたクラシャー本部であるが、雪も解けようやく春の兆しが見え始めた今日に至っては、ついに我々の活動も活発なものとなってきた。
もちろんその夜に関してもこの後のクラシャー先行きを決めると言い切っても過言では無い重大なミーティングを行っていた。
ついに3周目を迎えるクラッシャーであるが、今年はより
アクティブに...そしてエキサイティングに、のスローガンの基に
今年初のロケ現場を決めていた。
我々も冬の間に何もしていなかった訳では無い。
有力な情報をもとにすでにいくつかのロケ現場をピックアップしているわけであるが、
今回最初に選んだのは全国的にも有名な三戸ずい道である。
以前にも調査をした場所ではあるが、その知名度とは裏腹に異常が見当たらずにいた場所である。
今回のスポットの情報についての詳しくは
北海道東北心霊話/管理人:tonkyさん(通称,師匠) |
より抜粋させて頂いた。
より詳しく詳細が知りたい方はそちらの方をご覧いただきたい。
http://shinrei.jungleboots.org/aomori/zuidou/
(北海道東北心霊話,三戸ずいどう調査報告書直リン)(許可済み)
さて話を本題に戻すが今回は前の調査で確認(前回はその存在すら知らなかったのだが)出来なかった少女が自殺をしたと噂される神社の調査が主なところである。
その夜、私はALEXと朝方まで綿密な作戦を練り上げ、ロケはその日の昼過ぎと言う事に決議され、とりあえず自宅にてしばしの仮眠を取る事にした。
しかしである、昼近くに目を覚ますと最悪な事態が発生していた。
なんと雨が降っているではないか。
これは霊の仕業であろうか、或いは我々の日頃の行いの悪さが祟っているのだろうか??
そんな事を天候に愚痴り嘆いていた我々に一瞬の好機が訪れた。
雨が治まってきたのである。
その好機を我々が見逃すはずがなかった。
すぐさま出発の準備を整えると、我々はデンジャラスローレル恐怖新聞初号機へと乗り込むのであった。
ここでは移動途中は省略させていただくが、よりリアルにクラシャーの行動を知りたい方は
”はみだし馬鹿純情派”
をご覧いただきたい。
青森県三戸町に入ってしばらくしてからのことだ、ずい道にも大分近付いて来るとちらほらと雨が降り出してきた。
だがこれくらいの雨ならまだいけるだろ、という気持が我々の心の中にあった。
しかし国道4号線を下っていくにつれ雨の勢いも増して来る。
まるでずい道に住まう得体の知れない何者かが我々の侵入を拒んでいるかのように。
或いは我々は全ての運に見放されてしまったのであろうか。
だからといってこのまま帰る訳にも行かない。
目的地は近い。
やがてずい道へと続いて行く横道が見え始めた頃には雨が止む気配はなかった。
意を決して我々はずい道へ進路をとった。
そこからは山道特有の曲がりくねった登り坂が続いて行く。
しばらく後に大きなカーブを危なげ無く曲がりきると、ふいに我々の目の前に例のずい道トンネルがその姿を現した。
車を路肩に駐車させると我々はまずトンネル周辺の調査から始めた。
前回の夜ロケの時とは違い、明るい昼間(やや雨降り)だと辺りの地形等も見えまた変わったずい道の顔を覗かせていた。
我々はいよいよトンネル内部へと侵入して行く。
デジカメとビデオカメラを携えて..........。
中には地元も暴走族が書き残したと見られるスプレーでの落書きが多く見られる。
恐らくは彼等なりの肝試しなのであろう。
至る所に落書きがされたトンネルを潜り抜けて行くとふいにトンネル内部の雰囲気が変わった。
それまではトンネルの壁はキチンと整備されていたのに対して、中ごろからは荒削りな、岩肌のような壁となってきたのである。
これは作られた当初の姿なのであろう。
更にひたすら進んでいくと、ALEXがなにやらおかしな素振りを見せた。
私にもそれはわかっていたが、
「どうした??」
私が感じた事をALEXも感じたに違い無いが一応聞いてみる。
「いや、ちょっと」
「声でも聞こえたか??」
「 ..........ああ」
「俺も聞こえたよ、なにやら」
なんと言っているのかは確かには聞こえなかった。
しかしなにか囁くような、そんな聞き取れない声らしきのもは聞こえたように思える。
やがて出口の光も大きくなり、五戸側の風景すらも見え始めた頃に後方から、そう私達が入ってきた三戸側から一台の車がやってきた。
さきほどの囁くような声の正体は車の近付いて来る音がトンネル内部に反響され聞こえたものだったのだろうか??
「こんなところに俺等いたらおかしな連中だと思われるな」
「いや、それはすでに社会的に認知されてきているであろう」
トンネルはニ車線であるがやはり古い造りのため狭い。
私達は端に身を寄せて車をやりすごした。
前回のロケは夜だったため車の存在は私達だけだったのだが、明るい時間帯においてはそこそこの交通量があるようだ。
それはこの後も何台かの通行車両を見る事によって知る事ができた。
五戸側まで到達するとやはりまだ雨が降っている。
ふと私達の目に横道が見えた。
「あれが神社へと続く道なのか??」
「おそらくな、一旦ここは車に撤収してから車でくることにしようではないか」
もちろん私はALEXの意見に従った。
車に戻る途中にもやはりおかしな声らしきものは聞こえたのであるが、
そのすぐ後には車がトンネルへと入って来る。
やはり先程の声らしきものは車が近付いて来る音の反響のようだ。
車に戻ると我々は改めて先程の横道、つまりは今回の目的ポイントである神社へと繋がる唯一の入口へと向かった。
そこはまるっきり山道であった。
「これって車で行けるのかな??」
「うーむ、言ったはいいが師匠が言う様にどっかでUターンできるところがあるかどうか」
「やはり最後に頼るべきは自分の肉体だけであろうな」
「うむ、最強の心霊部隊サイコ☆クラッシャーの力を見せてやろう!!」
曲がりくねる急斜面(傾斜12度、目分量)を登る事.........3分。
「足が動かなくなって来た」
すでにALEX、ギブアップ寸前。
「ギャハハ、それは体力なさすぎだろ」
「足が痛いよ、筋肉痛確定だな」
「THE☆ひ弱め」
「失敬な!!もやしっ子の底力を見せてやる!!!」
ALEXがついに本気を出した。
今までの弱気な発言が嘘のように坂道を猛烈に登り始めたのだ。
しかしそれから..........1分後。
「ヒィ、ヒィ、ヒィ、、、もう無理だな、帰るか」
30メーター登った所に立っているのがやっとのALEXの姿があった。
「せっかくここまで来たのに帰るのかよ」
と言いつつも私も疲れを隠せない。
ましてや行動範囲は室内のみのALEXは尚更であろう。
「これって本当に神社あるのか??全然見えてこないんだけど」
ALEXはすでに諦めモード.....というよりは体力の限界か??
「これでなにも映らなかったら、俺は恨むね。
もう恨んで恨んで............」
「そんな恨むのかよ」
「むしろおれの生き霊が現れるって噂が広まるくらいに恨むな」
「それをまた俺等が取材か??自作自演だな、そこまでいくと」
そんな泣き言にも似た恨み辛みの言葉を吐きながら我々は更に上を目指す。
中腹までくると我々が入ってきた入口は遥か下、なんとか見える程度だ。
これは行きも帰りも辛そうだ、そんな考えが脳裏によぎる。
「あれっ??俺、携帯どうしたっけ?」
「車にでも置いてきたんじゃ無いのか?」
「ならいいけどな、もしもロケし終わって帰る時にふと携帯を頂上に忘れてきたら、俺.....諦めるな」
「諦めんのかよ!!」
「俺に日に二度もこんな坂道を登る体力は無い!!」
「つーか一回も登り切れそうではないな」
「一言多い奴め」
しかしそれから五分も登ると我々の苦労は実を結んだ。
やっと神社が見えてきたのだ。
ここでバッテリー節約のため止めておいたビデオカメラにも電源が立ち上げられる。
今回、私がビデオカメラ担当であったのだが、ここでおかしなことが起きた。
映像がおかしいのだ。
なにやら不自然な色がついているのである。
ALEX曰くヘッド部分が汚れているとのことで納得。
早速、神社の調査を行った。
まずは問題の鳥居。
話によると、ここで自殺をしたらしく、調査に来た師匠が声を聞いたらしい....。
慎重に近付いて行く。
ALEXが先陣を切ってくぐるがなんの声もしない。
続いて私がくぐりぬれてみるが、もちろん声など聞こえるはずがなかった。
鳥居にすぐ続いて二体のこま犬。
神社にありふれた光景だ。
そして、ここでなぜかお墓が。
なぜ神社にお墓が??
不振に思いながらもサイコ☆クラッシャー条例に従い、撮影の方は避けて行く。
ALEXが石碑を撮影している光景が私の目に映りこんできた。
その石碑には伊勢なんたらという文字が。
「これって伊勢神宮とかと関係あんのかな??」
「わからん」
もちろんである。
我々にわかるはずがなかった。
さらに神社周辺を軽くひと回り。
見た所やたらゴミがある。
その多くはビール缶である。
これも肝試しにきた連中の仕業なのであろうか。
当たり前であるがそれほど広範囲な場所ではない。
おかしな現象もなくあらかたの調査は終わってしまった。
最後に鳥居である。
まずは私と鳥居の比較を見てもらいたい。
ちなみに私は身長180cm以上あるわけであるが、これが自殺したというのが女性なら.....。
ロープを鳥居にかける事はなんとかなるだろう(なぜその場にロープがあったのか、或いは女性が持ってきたのならなぜ持っていたのかは本人、あるいは真実を知る人にしかわからないだろうが)
しかし問題はその後である。
仮に私がやったとしてロープに首を入れることは不可能である。
もしかしたらずい道の噂は.........。
「嘘なのかもな」
「うむ、だが有力な情報から考えるとありがち嘘とは決めつけられまい。何よりも師匠が声を聞いたのは事実だし、、、、、」
確かに、噂と真実が食い違っている事は大いにありうる。
こうして新たな謎を残し我々サイコ☆クラッシャーは下山して行くのであった.......。
と、ここでエンドロールでも流して終わるはずだったのだが。
帰り道にALEXのわがままが始まった.....。
http://PSYCHOKRUSHER.Co.Uk