H O R R O R ! 恐怖新聞 5th シーズンス

#02:八甲田山

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act.1

その日、私が本部に向かうと夕刻の時間帯であったがためかALEXの家族と遭遇。

夕飯準備におわれている家族に軽く挨拶を済ませると、いつものように二階にある本部へと足を運んだ。

今回は青森県での初の合同調査である。

私はそのためのお迎えに伺ったわけである。




いつもの見慣れたドア、




いつもと同じに開けるとそこは、




クラシックが流れ、




いつもは閉め切られているブラインドも全開、





そこからは夕日に染まる山の樹木の光景が見えるではないか。






まさに優雅




そこは私がいつも見慣れた本部室内などではなく、




例えれば...........。




世界の車窓!!




「プータローのくせにいい身分だな」



「美しい光景は人を選びませんよ」





「心は汚らしいからな」




「失礼な!!」





「んで準備のほうは??」





「まだメインデジカメがソニーから返ってきてないんだよ、今回はいつものビデオカメラに兄貴からデジカメを借りる予定だ」





「わっち兄貴か??」





「いや、実の兄から...........血の繋がった」




「それでは待ち合わせの時間に遅れたら悪いからそろそろ出かけるか」




「そうだな」




部屋を退出し、玄関に行くと都合良くALEX兄に遭遇。



「こんちわ〜」



「あれっ??どっか行くの??」


「今日は八戸方面で青森の部隊の人と調査だよ、ところでデジカメ貸して」


ALEXが実兄からデジカメを借りている間に私は車に荷物を積み込む。


と言っても今回はビデオカメラ一台にベレッタ一丁のみであるが。


「まぁそれじゃ頑張って来てよ」


快く見送りをしてくれるお兄さん。




しかし「こいつらなにやってんだかなぁ〜」という雰囲気がチラホラ。


そんなお兄さんに見送られ、私達の乗る車は好調に走り出して行くのである。


車内ではALEXが実兄から借りたデジカメ操作に手間取っている。


なかなか使い慣れない様子。


「どうだ??」


「う〜ん、なんとかだな」


「ところで俺、待ち合わせの本八戸駅の場所わからんよ」


「あぁ、それは俺が知っているから大丈夫だ。その前に郵便局に寄って行ってくれれば」


「なら晴山の郵便局に寄るよ、でも近付いてきたらもう一回言って。たぶん話に夢中になって忘れてるから」


「それは大いにあり得るな」


「ところで今日はどこをロケするの??」


「それはケンチャンにおまかせさ、今回はお任せコースでお願いする予定で」



「そうか、おまかせ人生だな」








「俺だって、たまには、おまかせで、楽したいんだよ!!




ついに出た本音




「あっ郵便局に寄ってね」


「あぁ、覚えてるよ」



郵便局に横付けすると私はALEXから手渡れたものをポストに入れようと窓を開けた。


ここで私は車を降りずに窓からポストに入れようと目論んだのだが.......ちょっと遠い。


これで入れるのを失敗して落とした日には何を言われるかわからんので面倒ではあるが降りてちゃんと入れる。


これでとりあえずの用事が済み、あとは待ち合わせ場所まで行くのみとなった.........ように見えるのだが、



なにせ隣に乗っているのがバカ殿ALEXである。








「あぁ〜ぁ、ジュースが飲みたくなったなぁ」





「今度はジュースかよ」









"L"から始まるいやらしいジュースが飲みたい!!」





「ラブジュースかよ」






しかし我々が通っている山道はコンビニはおろか自販機も少ない道である。



しばらくALEXには我慢してもらう事に。



しかし運転をしているうちに私はジュースの事を忘れてしまった。





「おい!!ジュースは!!」




「あぁ、忘れてた」




「俺を殺す気か!?」





「いや死なないだろ、その程度で」






「もう36時間は水分を採ってないからな」





「嘘つけ!!」








「おかげで....





お肌もカラッカラ...........」





「そりゃ元々だろ」







ALEXの不平不満を聞きながらもしばらく走るとやっとの事でコンビニを発見。




これでバカ総帥も静かになる事だし、コンビニに寄って行く事に。





「Lから始まるジュースがないじゃないか!!」




「そんなジュース置いてるコンビニなんてねぇーよ!!」




渋々、缶コーヒーを選ぶALEX。



しかし不満そうである。



「おや??タバコが.........」


「どうした?」


「いやここのコンビニ、タバコ置いてないんだ」


今時どこのコンビニでもタバコぐらい置いているだろと思いながらレジの後ろを見てみるが本当にない。


「本当にないや」


「嘘言ってどうすんだよ、俺が嘘言ったことがあったか??







「.........数々な」





「人聞きの悪い奴め」





「狼少年か貴様かってとこだろ」





「どっちかって言ったらどっちが嘘つきだ??」






「まぁ僅差でALEXだろ」







「僅差か.........」





「タバコはもうないのか??」


「いやまだ少しあるから八戸についてからでもいいや」


現在地から八戸まではもう近い。


我々は待ち合わせの場所を目指した。


程なくして八戸市のネオンが見えてきた。





「欲望が渦巻く八戸のネオンが見えてきたぞ」





「本当に渦巻いているのか??」




「それは知らんが」




「それより気を付けて運転してくれよ、俺は君の運転を信頼していないから」




「今頃になって言うなよ!!」




「すまん、いつも思ってた」



「まぁ








この車は











保険に入っていないからな










「な、何!!そりゃ初耳だ















「言ってなかったっけ??












事故ったらお終いさ.......












ALEX共々、





木っ端みじん....」









「俺は道連れにすんなよ」









「でも心配すんな、、、、












ここ最近は事故ってないから










「不安な一言だな」






「それより俺は待ち合わせ場所よくわからんから道案内よろしく」




「あぁ、まかせておけ。まずは道なりに行ってくれれば良い......俺の記憶が確かなら」




「おいおいおい、大丈夫かよ」







「多分な」





ALEXの指示に従い私は待ち合わせ場所である本八戸駅を目指した。




その時である。




ALEXの携帯が鳴り響いた。



どうやらケンチャンからのようである。



「町中が混んでいるらしく少し遅れるらしい」



「そうか、ちょうど良いな。我々もまだ待ち合わせ場所を見つけてないからな」



「それは俺の記憶が不確かだと言う事か??」



「そこまでは言ってないが、それに似たような表現を含んでいる」






「失礼極まりないないな、そこを曲がれば.............ほら、ついた!!」







「おお!!本当についたよ」




「疑っていたのかよ!!」








「んでどこで待っていればいいのかな」





「そこの駐車場に入れて待ってようか」





「ここ月極だぞ」




「だれか来たらどけばいいさ」




我々は駐車場の一角に車を停めるとケンチャンが現れるのを待った。



「ケンチャンが来たらどうすんの?車二台で行くのか??」



「それは効率悪いだろ、ケンチャンの車に乗せてもらおう」




「なにに乗ってんの??」



「確かランサーだと思ったが」




と言いつつ窓を開けるALEX。





「暑いか??」




「いや、暑くはないんだが」







おもむろにベレッタにガスを注入。





「試し撃ちしとかしないとな」


買物帰りの主婦や仕事帰りのサラリーマンの行き交う駅裏でいきなりの乱射。


「あの街灯を割れないかな」





「いや無理だろ」




その距離は7、8メートルほど。




「でも裸電球だろ」




「だが当たっても割れないんじゃないか??」


何度か試してみているが割れる気配が見えない。


というより当たっているようには見えない。


「まず当たってないだろ」







「おのれ!!」


ALEX、気合の一発。










.............カツン!





「当たったか??」




しかし街灯の光は消えていない。




「今のは街灯下にある車に当たったんだろ」


「残念だな、やっぱもっとパワーを上げないとな」


「ケンチャンなかなか来ないね」


「近付けば車の爆音でわかるよ」


「でも静かな車で来たらどうする??」


「車いっぱいあるみたいだしな、あり得なくもないな」


「カプチーノとか??」


「カプチーノだったら三人は乗れないだろ」


「そりゃカプチーノだったら無理があるだろ」



そんなカプチーノ話に盛り上がっていると爆音を響かせ我々のすぐ傍をランサーが爆走していく。


「あれケンチャンのかな??」


「それっぽいが八戸ならランサーはいっぱいあるだろ、違う人のかもな」


確かにランサーの爆音はしばらくして聞こえなくなった。


「ここにいてケンチャンわかるのかな??」


「一応メールで月極駐車場にいることは伝えておいたが」


「もう少し分かりやすい場所がよかったんじゃないか?」


「俺等ならメールで場所を指定されても確実に見つける事はできんがケンチャンなら大丈夫だろ」


しかしそんな我々の不安をよそに再びランサーの爆音が近付いて来る。


そして我々のいる駐車場に入ってくるではないか。


「あれケンチャンかな??」


「近付いてみるか」


車をランサーのほうに近付けて行く。


辺りはもう暗いからALEXの鳥目では遠くにいる人物を確認する事は容易ではない。


さらに我々は近付いて行く。


相手のランサーも窓を開けてこちらを伺っている。


しかしまだケンチャンとは確定出来ない。


私はケンチャンとは面識がなかったのでALEXだけが頼りである。


車を更に近付けて行く。


「............ケンチャン??」


しかし相手の反応はない。


声が届いていないのか??


あるいは人違いなのであろうか??


さらに近付けると


「おぉ!!ケンチャン!!!」


どうやらケンチャンと確認出来たようだ。


ここからついに本部部隊と青森部隊の夢の合同調査が始まるのであった。


「これからどうする??どっちの車で行く??」


「できればそっちの車で」


「んでこの車はどうする??」


「どっかに駐車出来るとこない?できれば金のかからないとこで」


「あぁ、良いとこあるから付いてきて」







我々はケンチャンのランサーの後に続き、駐車スペースのある場所へと案内された。










そこは近くあるゲームセンター。












「おっガセワールドの駐車場か」






「セガワールドだろうが!!」




「ツタヤまであるぞ、これって24時間営業だろ」




「いやおそらく24時間ではないだろ」




「じゃあ賭けるか??」





「賭ける金あんのかよ」




「.................」



ここからはケンチャンの車に機材を詰め込み、ついに本格的に調査が始まるのであった。


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