H O R R O R ! 恐怖新聞 5th シーズンス
#02:八甲田山
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act.2
時刻はまだ19:00時。
早い時間と言う事もあり辺りにはゲームセンターやビデオレンタル店を行き来する一般人が多くいる。
そんな中、二人の男がローレルから降りるなりアタッシュケースやらバックやらを持ち歩く姿はさぞ奇妙であっただろう。
私達は大荷物をケンチャンのランサーに詰め込むと早速出発するのであった。
「どこから行く??」
「どこからっても、どこがあるの??」
「階上の廃墟とか神社とか、どこも場所はわかるよ」
「八甲田山は??」
「あぁ、そんなかからないよ」
「........普通に運転して??」
「いや普通に運転しても、行く??」
「まずはこっから一番近いとこでいいよ」
「なら神社だな」
ランサーが爆音と共に動き出す。
車内ではALEXが................はしゃいでいた。
「いいよ、これ!!このパケシートいいなぁ!!!」
「解体屋とか探せばあるよ、欲しい??」
「欲しいなぁ、マーチに付けたい!!」
「でも車の中では色んな事はできないよ」
「大丈夫!!色んな事をする時はコンパクトになれるから」
「無駄な特技だな」
ケンチャンのランサーは45号線を爆走していく。
「おっとこのへんから入っていくはずなんだよな」
45号線から脇道にずれると先程まで交通量が嘘のように静かになる。
しかも街灯の数もそれに比例して少なくなったいる。
静かで薄暗く無気味な雰囲気が漂っている。
「この辺に神社があるんだよ、人通りも少なくて夜は誰も通らなくなるって」
確かに今の時間ですら他の車をほとんど見る事はない。
ゆっくりとランサーは進んで行く。
「あっ!あった!!」
確かに我々の侵入方向から右側に鳥居が見えた。
そこは街灯の灯が一筋も差し込まず、鳥居より奥はまるで見る事は出来なかった。
「どっか停めるとこあるかな??」
「もう少し先にあるかも」
少し先の空き地らしき所にランサーを停めるが、どうもどっかの会社の私有地なのか錆び付いた門らしきものが見える。
「ちょっとまずいね」
「時間が早すぎるかも、もっと遅くなってからなら大丈夫だろ」
仕方がないと言う事で、ここは一時保留。
しかしここに一体どんな曰くが........。
「ここってなにがあったの??」
「隣に工場があるじゃない」
言われるがままにケンチャンのいう方を見てみるとそこにセメント工場らしきものがある。
「そこの女性社員がそこの神社で自殺をしたんだ」
「三戸ずい道と似た様なところか」
「でも行けないんなら仕方がないよ、次の所に行こうか」
ランサーは再び爆走を開始する。
しかし私はこんな爆音をさせる車に乗った事がなかったのだがなかなか凄い。
爆音は爆音で別にいいのだが、私が乗っているのは後部座席。
前の二人の会話、あまり聞こえず。
そんなランサーはさらに45号線を上っていく。(上っているのか下っているのかはわからないが)
その先は階上町。
私も月一でよく行っている場所である。
そこはホテル街、多くのラブホテルの看板が見えて来る。
「あぁ、俺こん辺全然わかんないんだけど」
「俺はよく来るよ、月一で」
「ラブホならラ×がいいよ」
「でもお高いでしょ、俺五千円台のとこしか行かないから」
「プッ、貧乏カップル」
「でもラ×は安いよ、あと色の名前が付いているとこはやばいよ」
「え??やばいってどうやばいの??」
「カメラ仕掛けられている」
「まじで!!俺よく赤い××とか行くよ」
「あぁ、そりゃもうネット公開されているな」
「公開かよ」
「いいだろ、どうせいつも車でやって公開しているようなもんなんだから」
「失敬な!!俺らは隠れたポイントでやっているから」
「そんなポイントがあるんだ」
「今度追い掛け回して見つけてやる」
「フフ、俺らはいくつものポイントを持っていてそこを渡り歩いているのさ」
「フンッ、ユダヤ人め」
「そろそろ次のところに着くよ、青森銀行を皆で探そう!!そこの近くらしいから」
我々は目印になる青森銀行を探し始める。
「次はどんなところなの??」
「次は廃墟になったヘルスセンター」
「ヘルスセンターって何??」
「温泉施設みたいのだよ」
「なるほど」
「三戸にもあるらしいよ、その廃墟になったヘルスセンターが。八戸か三戸かのどっちかが本物の出るとこらしいけど」
「三戸にそんなのあったかな??」
「どの辺??」
「4号線沿いにあるんだけど、わかるかな??」
「4号線沿いにあったかな、廃墟みたいなの」
「う〜んと自販機がたくさんあるところ辺りなんだけど」
「あぁ、なんとなくわかるかも。あの辺潰れてそうなドライブインがあるからな」
「錦果園か??」
「あそこはまだまだやってるだろ!!深夜2時まで」
「あぁそうか、しかしそんなとこがあるとはな。俺らの情報にはなかったな」
「今回はこっちの方と言うことで、あっ青銀見えてきたよ」
我々は一時青森銀行の駐車場に入り込んだ。
「確か青銀の前って話なんだけど」
「ってあれ??」
我々の目の前、道路を挟んだ所に廃屋が。
しかしそこには..........。
「こっから見た感じヘルスセンターには見えないな、つーか喫茶とかって看板に書いてない??」
「ちょっと待って、知っている奴に確認してみる」
ケンチャン、携帯で確認中。
「やっぱあそこだって」
「裏手にあるのかもしれないな」
「どっちにしても行ってみるか」
我々は車を降りると道路を横切りそこの廃屋へと近付いてみた。
「なんか隣の店やってんだけど」
「やっぱここは喫茶店らしいな」
看板には擦れた喫茶という文字が残されている。
「裏手に回ってみるか??」
裏の方は塀に覆われているのだが覗いてみた所ただの空き地でしかない。
すでにヘルスセンターは取り壊されているのかもしれない。
「残念であるがここは見る価値無しだな」
「そうだね、あんまり来ないし。出そうなとこだと背筋がゾクゾクするんだよね」
「ケンチャンは霊とか見えるの??」
「最近はパワー落ちたけど見えるよ」
「すごい、本部には残念ながらいないな.......その能力を持つ者は」
「事故現場とかヤバい所走っていたら強くなってきたよ」
「心強いな」
「次は??」
「吾平さん家ってとこなんだけど」
「どこにあるの??」
「五戸の方だよ」
「ちょっと待った!!その前にコンビニに寄って、タバコがない」
「あぁ、すっかり忘れてたよ」
我々はコンビニに寄りALEXのタバコ、ついでに飲料を補給し新たなポイントである吾平さん家を目指した。
「その吾平さん家ってなんかあるの??」
「なんか窓を開けてみるとそこにはお札がびっしり貼られているらしい」
「よくある話だな」
「でもそこはかなり広い屋敷なんだよ、おかしくない??普通だったら誰か入ってもよさそうなのに、それに
誰も住まないのだとしたら取り壊してもいいはずだよ。それをしないのはなにかしらあるからじゃないかな」
「う〜むそう言われれば確かに」
「しかしケンチャン色々詳しいよね」
「まぁ色んなとこ走っているし、俺、昔は探偵になりたかったんだよね」
「俺と一緒だ、俺も探偵やってみたいんだよね」
「俺は十代の頃に事務所まで行ったよ、でも二十歳になったら来て下さいって言われちゃって」
「未成年は雇ってくれないんだね」
ランサーは五戸方面へと爆走していく。
もうすでに我々の地理では及ばない所に来ている。
これからは(八戸に来てからずっとそうであったが)ケンチャンだけが頼りである。
「もうどこからどこに行くかもわからなくなってきたよ」
「ALEXって方向オンチ??」
「まったくの方向オンチ」
「しかも鳥目の」
「FANCYって、もしかしておっとりタイプなの??」
「よく人に言われるよ」
「うんざりするほどのな」
「なんかテキストからは想像出来ないな、もっと凶暴な人かと思ってた」
「俺はいたって一般市民だよ」
「俺なんか思ったら即行動しちゃうタイプだからな」
「ロリ太と似たようなタイプだね」
「あとはっきりしないのはイライラするね」
「あぁ、それは俺も同じ!!どっちかと言うと俺とケンチャンは似たようなタイプだね、FANCYとロリ太はおっとり系だからな」
「つーことは俺とロリ太はハト派でALEXとケンチャンはタカ派だね」
「サイコ☆クラッシャーニ分割化??」
「FANCYはあんま怒ったりしないでしょ」
「あぁ、滅多な事では怒らないね。
人間出来てますから、
俺かガンジーかってくらいに」
「途中で降ろしちゃうよ」
「あぁ、
出来ればもっと山奥に。
二度と戻って来れないように」
「了解!!」
「ゴラァ!!!ちょっと待てぇ〜、ここですら訳分かんない土地だと言うのに」
そんな事を言っている間にも五戸へと入ってきた。
もう街灯の数も少なくなり、道も先程とはうって変わって狭くなってきている。
静かな五戸をケンチャンのランサーが爆音と共に走り抜ける。
ちなみに我々はどこにいるのかさえわからなくない。
「こっから行くと塀のある大きな家が見えて来るから」
「どんな塀??」
「もう古ぼけた塀なんだけど、かなり昔に作られたような奴だよ」
「そこは入っても大丈夫なの??」
「なんか管理人みたいなのはいるけど、多分大丈夫じゃないかな!散歩してたとかって言えば」
「またしても不法侵入か.....」
しかし進めどそのような場所が見当たらない。
「あっあれは??」
なにやら塀に囲まれた家が見える。
「いや、あんなのではないんだよ。もっと大きくて古い塀の所」
確かに我々が目にしたのはトタンか何かでできた比較的新しめのものであった。
「こっちからじゃなくて反対側からくればわかりやすいかな」
ランサーはさらに人気のない山道に入っていく。
「そこにいかにも出そうなラブホがあるよ」
確かに薄気味悪いラブホがある。
明かりも少なく年期が入った塀や看板、雰囲気までもが出そうな感じである。
一体どんなカップルがここを訪れるのであろうか??
私だったらいくら他が満室でも絶対に入ろうとは思わないであろう。
「出るようなラブホはあるけど..........男三人じゃね、絶対怪しまれるだろう」
「明らかに当局に通報されちゃうね」
グネグネと曲がりくねる山道をそんな会話をしながら走っていると
「おっとそろそろ見えて来るよ」
本当に古ぼけた木製の塀が見えてきた。
しかも話通りにでかい。
想像以上に大きな家らしい。
所々塀は新しく補修した跡がある。
そのせいでさっき来た時は気付かなかったらしい。
「なんか家があるよ」
「多分管理人のだと思うけど」
「う〜む、これで隠密行動ができるかな??」
「微妙なところだな」
「残念ながらここは諦めるしかないようだな」
「今度ロケする時はもう少し隠密に行動出来る車にするよ、ランサーはうるさすぎるからね」
「まぁ今回はしょうがないね、八甲田山ってこっから近いの??」
「近いよ、行こっか??」
「どんくらい??」
「40分もあれば」
「なら八甲田山にGO!!」